雨の日は雨の日を、晴れの日は晴れの日を
2025/12/16
■「更年期のメンタルダウンに対処法は」
――今月53歳になり、高校2年の娘と中学1年の息子がいます。夫も子どもたちも自分のことで忙しく、私も7月にパートを辞めて時間があるからか、今年の誕生日は寂しいなぁと感じましたが、家族がそれぞれに頑張っているので、私も自分でバランスを取ろうと思います。
次のパートに行く気分にはならず、息子が反抗期なので私が笑顔でいてあげたいのですが、私は更年期で、今日は大丈夫と思っていても、ちょっとしたことがきっかけで急にメンタルダウンしてしまうことが多々あります。そんなとき、自分でできる対処法などがありましたら教えていただきたいです。
〈高尾美穂からのリアルボイスへ寄せられたレターから〉
この方は今、雨の日かもしれませんし、結構深い曇りの日かもしれません。そんなときに、今日が雨の日だと自分なりに理解する、あるいは今日が曇りの日だと理解すると、そうじゃない日も来るよね、と思えるのではないでしょうか。
今日は雨の日だけれど、明後日は晴れるかもしれません。今日は調子が悪いかもしれないけれど、明日はもうちょっと元気かもしれません。私たちは揺らぐ生き物で、晴れの日もあれば雨の日もあります。「今日は雨の日なんだ。じゃあ、雨の日は雨の日なりに過ごそう」という心持ちがいいのでは、と思うんですよね。

■「大変なことはきりがありません」
――先生の配信をただひたすら聞いて時を過ごし、救われたボトムの時期を、涙を浮かべながら懐かしく思い出しました。新たに知ったパートナーのこと、母にさらに振り回されてしまう日々、私自身の新たに知った体調面など、大変なことはきりがありません。それを何とか乗り越えようと毎日頑張っています。
人は何歳まで生きられるかわかりませんし、少しでも今を楽しめるよう、自分のために努めたいとも思っています。今を大切に生きたいですし、少しでも人の役に立ちたいです。
〈高尾美穂からのリアルボイスへ寄せられたレターから〉
この方もおそらく雨の日です。雨の日ばかりが続くのに、泣きっ面にハチみたいな形で大変なことが重なる時期もあると思います。雨の日があって、それこそ嵐の日が来て、小雨が降って、曇りの日があって、でもまた雨が降って、晴れの日なんてどこにあるんだろう、という気持ちになることも、きっと誰にでもあります。
たとえば、ひざの不調や内臓の不調、メンタルの不調の有無。社会的な状況やご家族の状況。そもそもご家族がいるのか、いないのかも含め、人それぞれに違う組み合わせで私たちひとりひとりが成り立っています。それはあくまで自分の特徴に過ぎない、というとらえ方ができるといいですよね。
困りごとには変化がなく、それは結局続くかもしれないけれども、ほかの環境因子や理由で変わることもあります。ちょっと雨が上がった曇りの日、みたいに感じる日もあるかもしれません。たとえば、全然関係ない何かに申し込んで当選したら、ちょっと晴れ間が見えたような気持ちになるのが、私たち人間です。
■また晴れの日が来るかも、と思えるかどうか
さらにこの方は、人の役に立ちたいと書いています。こういう気持ちになれるのは、自分のことをある程度落ち着いて考えられたり、自分なりに納得できていたりするからで、低めかもしれないけれども多少安定しているので、自分以外の誰かに目を向けることができるのだと思います。
今日はちょっと小雨の日かもしれませんし、雨が上がった曇り空の日かもしれません。あちらに雲があるけれど、空は明るめかもしれません。「雨の日は雨の日を、晴れの日は晴れの日を」楽しむのか、味わうのか、自分なりに受け止めるのか。その人なりの一日を過ごしていただけたら、また違った次の日がくるかもしれません。それが私たちにとっては希望ですし、そういう感覚を持っていただけたら、と思うんですね。
私たちはうつろう生きもので、そのうつろいを味わい、積み重ねていくのが人生です。いろいろなことがあっても、その日はその日としてとらえられるかどうか。昨日と今日は違う日だと受け止められるかどうか。引きずる日が何日か続くとしても、その先にはまた晴れの日が来るかも、と思えるかどうか。
それが、私たちが1週間や1カ月、1年をどんな時間にしていくかに大きく影響することを、みなさんは気づいていらっしゃるのではないでしょうか。