夢を終わらせないで形を変えていく
2025/10/07
■やりたいことを、胸を張って続ける
――私は40歳。パートで清掃の仕事をしています。仕事の話題になると、親や知り合いからは「若くて清掃の仕事なんてもったいない」「今しかできない仕事にしたら」「清掃の仕事なんて」といった反応が返ってくることがときどきあります。一人で黙々とやる作業で、コミュニケーションはあいさつ程度ですが、私自身は掃除が苦ではないので、今のライフスタイルと合わせて選び、3年ほど続けています。周りの反応を少し残念に感じてしまう自分もいます。
〈高尾美穂からのリアルボイスへ寄せられたレターから〉
おそらく、お掃除という仕事が、誰でもできる仕事として世の中にとらえられているからこういう反応がくることが残念だとか、お仕事に対するご自身の納得感と周りの反応がちょっとずれていることが惜しいな、と感じていらっしゃるのだと思います。
これは結局、それぞれの価値観ですよね。先のことはわからないけれども、今、自分にすごく合っていて、「これでいいじゃん」と自分なりに思っていただいていたら、それが最高だと思います。
お掃除の仕事で指導的な立場になったり、新しいアイデアを出したりすることもあるでしょうし、自分なりにスキルが上がっていると感じる機会もあるでしょう。やりたいことを、胸を張って続けていらっしゃると感じました。

■50歳である職業に飛び込みましたが
――私は50歳で、とある職業で生計を立てたいと夢を見て飛び込みました。資格が不要で経験と実力がものをいう世界。努力と時間と勉強するお金をつぎ込み、頑張りました。しかし、労働の対価としての報酬が少なく、生計が立てられない職業であるとわかってきました。次第に貯金も減り、教えを受けていた先生にも「あなたに高い単価の仕事は無理だよ」と言われてしまいました。朝から深夜まで頑張る生活にも疲れ、憂うつな日が多くなったので、この辺りが潮時だな、と夢を諦めました。今は就活中で、明日面接に行きます。
〈高尾美穂からのリアルボイスへ寄せられたレターから〉
このかた、既に新しいお仕事に向けて、面接にいらっしゃったとことと思います。もしかすると、新しいお仕事を頑張っておられるかもしれませんね。
ここで言えるのは、みんながみんな夢をかなえられるわけじゃない、という厳しい現実であっても、夢の形を一つだけに決めてしまわなくてもいいんじゃないか、ということです。これから生計を立てるためのお仕事を見つけて、そのお仕事で生計を立てつつも、自分がやりたいと思ってきたことは続けていけばいいと私は思うんですよね。
副業をしてもいいようなスタイルで新しい仕事を始めて、自分がしたいと思ってきたことは趣味+α ぐらいの形で続けてみたらどうでしょう。それぞれの比重が入れ替わることもあるかもしれない、と思いながらこれからを過ごしていかれたらよいのでは、と思います。
■夢は、見続ける限り夢なんですよ
「夢がかなわない」と思うのは、もちろん自由です。でも、夢は見続ける限り、夢なんですよ。見続ける人にとって、夢は終わらないものです。
自分が「これだ!」と思った夢、目の前の霧がバーッと開けたような、そんな感覚を感じたことはありますか? そう思えることは、人生でなかなかありません。「夢が終わりました」「夢を諦めました」と簡単に結論づけるのではなくて、夢の形を変えていく。まずはこれを続けていって、それがまた何か今とは違う形になっていったらいいな、というイメージでいくのもいいと私は思います。
「夢って何ですか」と聞かれたときに、サクッと答えられる人はそういないんですよ。高校生の頃に抱いた夢を実現させた、というのは、本当にわずかな確率の話です。自分にとって「これが夢だ」と思えるような時間を過ごせたこと自体がすごくハッピーですし、それを自分で終了させる必要はありません。
形をいろいろと変えながら、細く長く続いていく。太く長くでもいいですし、それがいずれかのタイミングで、自分が願っていたような形になったり、誰かの役に立てていると思えたりするようなときが、来るかもしれないですよね。いかがでしょうか。
※2025年9月10日配信「高尾美穂からのリアルボイス」を元に一部を再構成しました。