妊娠中の腰椎骨盤痛 低減にむけた取り組み@米国整形外科学会
2015/09/18
米国整形外科学会(AAOS)から、妊娠中のホルモン変化により引き起こされた腰椎骨盤痛を低減するための、妊婦さん向けの運動方法が報告されていたのでご紹介します。(Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 2015.9)
妊娠中であっても、可能であれば通常の日常的な活動や仕事は続ける。
指導のもとエアロビクスや水中でのトレーニング、ヨガやストレッチなどの柔軟系、筋力トレーニングを日課に取り入れる。
温湿布などであたためる、腹帯で支える、マッサージ、鍼治療、アロマセラピーなど、さまざまな補助的または代替医学療法が有効な場合もある。そのような際には必ず主治医や産科医、婦人科医と相談する。
腰椎骨盤痛のある妊婦には、正しい姿勢、リラックス方法、寝返りのうち方など腰痛とその予防方法に関して十分に情報提供する必要がある。
急激に脊椎や骨盤の関節を過度に伸ばすような激しい動きをしないよう指導するべきである。
妊娠中はホルモン分泌の大きな変化によって靭帯の弛緩が起こり、正常範囲をこえて関節可動域が大きくなりすぎてしまう可能性があることはよく知られています。また、妊婦のうち腰椎骨盤痛を経験するのはおよそ2人に1人ですが、この原因は靭帯の緩み、体重の増加、重心の変化などにより腰部=腰椎の弯曲が強くなり、骨盤が前に傾く=骨盤前傾 してしまうことで引き起こされるとされています。
また、胎児が成長するにつれて子宮自体も大きくなり子宮重量も増加し、弯曲が強くなった腰椎と骨盤に過度の負荷がかかることで腰痛が生じますし、子宮を支える円靭帯が引き伸ばされることで骨盤まわりの痛みがでてきます。
著者らは、「腰痛と骨盤帯痛の予防や軽減には、妊娠前と妊娠中の運動が効果的」と指摘し、医師の診察を受けてから始めることを推奨しています。
この論文がおすすめしている腰痛や骨盤帯痛を低減するための運動方法については、これまでも言われているような一般的な運動です。そこにプラスして腹帯で支える、マッサージ、アロマなどについても言及されているこの論文ような報告は、ばりばり西洋医学の論文ではそれほどよくあることではありません。
まとめると
【妊婦におすすめする運動】
【妊婦への教育】
妊娠中にできることはみなさんが思っているよりも多い。そう言えるような論文でした。周産期における運動に関するガイドライン作成の参考文献とさせていただきます。