泣けるほどに

職場で、悔しくて涙を流すスタッフがおりました。外来診療というのは限られた時間の中、常に時間に追われる中で、ケアレスミスなど間違いは許されませんし、かつ患者さんには来てよかったという思いを抱いていただかなくてはなりません。

入職まもないスタッフですと、自分への不甲斐なさややりきれない思いから涙を流すようなこともあるのだろうと思います。今ではかなり感情のアップダウンがない私も、医者になってからの数年間はやはり、いろいろな葛藤がありました。やらなくてはいけないことと必要な時間の調整だったり、指導医からの 当時は理不尽と思えるような指導であったり、根拠のない優劣をつけられて悔し泣きしたこともありました。

がんばっている人が流す涙は綺麗です。結局は自分でどうにかしないと変わらないことはその通りなのでしょうけれど、そばで見ていて応援したい気持ちにさせてくれます。

涙にもいろいろありますが、悔し涙はいいですね。これまでの自分と、これからの自分のために流す涙ですから。また、感情による涙にはストレス反応として分泌されるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)というホルモンが含まれています。涙を流したあと気持ちがすっきりしているのは、このACTHが減少しているからだと言われています。

しっかり涙を流してすっきりすること。そして、泣いて終わりではなく、これまでの自分ややり方をどう変え、これから先なにができるのかをしっかり考えること。そんなことをくり返していけば、きっと悔し涙がうれし涙に変わる日も遠くないだろうと思っています。

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