婦人科スポーツドクターの役割って

先日JISSで、『女性ジュニアアスリート及び保護者のための講習会・高校生の部』が開催されました。この講習会にオブザーバーとして参加し、講習会修了後にご挨拶くださいました、都道府県の体育協会の方からのメッセージです。このメッセージをいただいてとてもうれしかったですし、いろいろ考えるきっかけをいただいたように思います。ぜひご紹介させてください。

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今日、初めて婦人科スポーツドクターのお話しを伺いましたが、このような内容の講習会は地方であまり開催されておらず、今後アスリートやその保護者・指導者に是非聞いてもらいたい内容でありました。

特に高尾先生からの言葉で印象的だったのが、『アスリートである前に女性である』というものでした。
アスリート、特にトップアスリートのための講習会ということで、『強くなるためには』という内容のみを想像しておりましたが、女性の部分を守りながら、その上でアスリートとして強くなっていこう、周りも正しく理解し見守ってあげようというような内容であり、とても優しく温かいものを感じました。講義いただきありがとうございました。

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私自身、数年前にJISSからの委託を受け、こうした種の講義をアスリートや保護者や運動指導者にさせていただくようになるにあたり、誰かほかのスポーツドクターの講義を聞いたことがあるかと言ったら、実は一度もありません。今ではJISSでの講義のたびに、JISS非常勤の先生や単発でお越しになったドクターなど、私の話しをお聞きくださるケースが増えたいへん恐縮しておりますが、私の講義のソースは他のドクターの講義にはありません。話しの組み立てもすべて、私が構想して組んだもの。つまり、私の思いが詰まったコンテンツです。当然、誰への遠慮もない分 内容もちょこちょこ更新され、常に最新のデータになっています。

そう考えると、今回体育協会の方が指摘してくださった点 特に『女性の部分を守りながら、その上でアスリートとして強くなっていこう、周りも正しく理解し見守ってあげようというような内容であり』は私にとってあたりまえのこと。あたりまえのことすぎて、指摘くださったことに対し、逆に少し驚いたくらいです。でも、もしかするとこの方の感覚の方がきっと正しいのかもしれませんね。世の中の多くの人は、アスリートはがんばってがんばってがんばり抜いて当然でしょ、と思っていて、婦人科のスポーツドクターも当然それをサポートするのだろう、と。

もちろんスポーツドクターという立場では、試合当日に最高のパフォーマンスを発揮していただけるような道を守るのが仕事です。でも婦人科スポーツドクターは婦人科医、ひいては産婦人科医である一面も持ちます。女性が女性としての長い目で見た健康や幸せを自分で考えてほしい、自分で選んでほしい。そんな思いは私だけでなく、多くの婦人科スポーツドクターが持ち、常に願っていることでしょう。


これからも、ひとりでも多くの女性アスリートが幸せな女性のアスリートでいられるよう、いろんな取り組みをして参ります。

メッセージありがとうございました!

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