女性泌尿器科についても学びたい

元々、泌尿器科を専門としてやってこられた女医さんで、今 婦人科を勉強中 という先生とお話しする機会がありました。年齢的にも同年代、十分に泌尿器科医として過ごしてこられてからの新しい挑戦 ということになります。ある程度の年齢になってからの新たな分野への挑戦は、本来かなりハードルが高いことだと私も感じています。だからこそ、お話しを聞きながら 先生の挑戦を応援したいと思いました。

尿道や膀胱について診る泌尿器科と子宮や卵巣、腟について診る産婦人科は、からだの部位的にも非常に近く、まさに隣接した臓器どうしを対象とします。しかし、お互いの分野の基礎なりを学ぶ機会があるかと言われたら、まったくないのが現状です。ただ私自身、もっと学んでいたらどれだけプラスになったか、そう感じる機会は今よりも大きな手術をたくさんしていた頃によくよくありました。当時は自分の専門分野について学ぶことでいっぱいいっぱいであり、結局 泌尿器科的な分野について学ぶ時間を持たないまま、今に至りました。

そう考えると、新たに婦人科に挑戦されている先生のことがうらやましくもあります。

日本における医療は、広く浅く診れるドクターを育てる よりも、狭く深く探求するドクターを増やす、という時代になってしまっています。つまり、たとえば小児科のドクターと言っても喘息専門だから新生児は診れません、のような。この点において言えば産婦人科医は若干特殊で、当直をするためにお産は必須ですから、腫瘍、内分泌、不育、どんな専門分野にいても 妊娠とお産は診れる産婦人科医がほとんど。自分も、婦人科スポーツしか診れません!という医者になっていなくて良かった と思っています。

大学病院にいる時期は専門性高く、レアな症例等に対応していく必要がありますが、それでも自分が専門とする科 つまり内科なら内科、外科なら外科、小児科なら小児科 の守備範囲は対応できることが望ましい。大学の所属を離れたらなおさら、研究・教育 という部分の手が離れるわけですし、町医者にはいろんな訴えの患者さんがお越しになりますから、狭い領域を専門性高く診れる医者よりは 広い範囲をきちんと診れる医者である必要性が高くなります。

そういった意味でも私は女性泌尿器科の勉強をしたい。そう思っています。泌尿器科全体の1%しかいない女性の泌尿器科ドクターと出会えたわけですから、今まで誰かに聞いてみたかった泌尿器科分野のあれやこれやをお尋ねしてみます。女性泌尿器科の分野を学ぶことは、今年私が取り組んでいる大きなテーマ『骨盤底筋』についても これまでと違った角度からアプローチできるのではと思えるから。とても楽しみです!

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