カスタマーエクスペリエンスについて考える

カスタマーエクスペリエンス という言葉を聞いたことがありますか?この言葉を毎日のようにお使いになっている業界の方もいらっしゃると思います。私がこの言葉をはじめて聞いたのは、ドームでのことでした。アンダーアーマーの商品を買ってくれる顧客に、”商品を手に入れる” だけでなく、”商品を購入するという経験”を得ている という付加価値を感じていただきたい、そんなイメージがドームにおけるカスタマーエクスペリエンスの意味合いです。
もともとは、商品やサービスの購入前後のプロセスや利用時に顧客が体験する「心地よさ」「驚き」「感動」「誇らしさ」などの、感覚的だったり感情的だったりする付加価値のこと。私の中で、今年のキーワードのひとつとなっています。

私の立場において言うのであれば、婦人科の診察において正しい診断を伝え、それに対するもっともオススメの治療法を提案し、来院者に安心をしていただくこと。しかしこれはあくまで一般的な医療を享受する という体験であるわけで、その体験に感動があるか、驚きがあるか といえば10人の方10人ともにそうだと言っていただける可能性はかなり低いわけです。

驚き、感動、誇らしさ を言い換えてみるならば「クリニックに来てよかったー!」という気持ち。言うなれば「相談しやすい先生だったー」=心地よさ、「こんなに話しやすい先生、あんまりいない!」=驚き、「この先生が私の先生でよかった!」=誇り、そんな思いを感じていただける ということがカスタマーエクスペリエンスの向上に繋がるのかなと考えています。

そのためには私たち医療を提供する側の質の向上、サービス業としてのホスピタリティ、これらがベースになることはもちろんのこと、クライアントの本質的なニーズを正しく把握することにより、クライアントから求められる前に先回りをした提案をする・しかもそこにいくつもの選択肢がある=つまり、かゆいところに手が届く感じ をどれだけ手の内に準備できているか、そこにかかっていると思われます。

大きな本幹となる仕事を進み始めている道でにおいては、カスタマーエクスペリエンスの向上に寄与できることはもしかすると枝葉末節にあたる部分なのかもしれませんが、どんなことが相手の心を動かすのか。それは提供する側が、なにか経済的な大きな負担を負って提供すべきものではありません。そうではなくて、体験として心を揺さぶるような経験をおまけにプラスする。そんなイメージ。

たとえば、野球少年がキャップを買いに行き、そこで即時に彼の名前の刺繍がしてもらえたとしたら。
クラブハウスにおいて憧れの選手がアクティブに動くPVに心躍り、憧れの選手と同じウェアを手に入れることができたとしたら。

翌日からの彼らのモチベーションは明らかに違ったものになるはず。

一方で私たちはいつからか、心を踊らせるような体験にお金を使うようになりました。たとえば富士山頂への登山、高尾山での初日の出、セドナの赤土でヨガをする、これらはそこにある自然のちからを借りて心躍らせる体験ができるわけですが、あくまで普段 出入りするような場所で環境で、お金と物のやりとり だけでなく、そこに心を動かすことができるような体験がついてくるかどうか。そこが私たちに身近なカスタマーエクスペリエンスであると考えています。

目の前にいる人の心を揺さぶることができるか。
シンプルに言えばそういうこと。講義を提供するにしてもレッスンを提供するにしても、サービスを提供するにしても音楽を提供するにしても、伝わって当然 の先に心揺さぶることができるエネルギーを秘めているか。そこにこだわって自分自身のプロダクツを眺めてみようと思いますし、まわりのみなさんが提供してくれるカスタマーエクスペリエンスを意識的に感じてみたいと思っています。

関連記事