忘れてはならない記憶

時間とともに、だんだんと治っていく。そんな不調もあります。原因となる大きなケガや病気がない場合の不調は、多くが時間とともによくなっていきます。これを「日にち薬(ひにちぐすり)」と呼んだりするもの。悲しみ、つらさ、苦しみといった感情も、時間の経過が癒してくれることがほとんど。しかし一方で、決して忘れてはならない記憶もあります。

8月6日 一瞬にして多くの尊い命が奪われた日。

この日だけでなく70年前の夏、私たちは多くの悲しみを経験しました。

もちろん私は戦争を経験していません。父母は戦時を生き延びた人。そのまた父母はまさに激動の時代を支えた人。父方の祖父は戦争で亡くなり、写真に会ったことがあるだけ。もうひとりの祖父は戦争に直接かかわった多くの方同様、私に戦争を語ることはほとんどありませんでした。祖母からは、私の母を背負って防空壕へ走るときに爆撃が空から降ってきた話しが折にふれ出てきたものです。

2年前、私は広島を訪れました。初めて原爆ドームを見上げ、悲しみを一身に感じました。

私がこれまで、戦争についてなにかを語ったことはありませんでした。しかし、もしかしたら…という気持ちを拭い去ることができずにいる今だからこそ、戦争のない世界への思いを言葉にしたいと思います。

今ある あたりまえのありがたみ、あたりまえがあたりまえではないことをもう一度心に刻もうと思います。そして平和を誓い、不屈の精神によって今の日本を築いた先人に恥じぬ日本を守っていきたい。私はそう思います。

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