早期発見を目指したい

ここ数日外来において、若年の女性のがんに接する機会が3件続きました。

27歳、卵巣腫瘍で元々フォローアップしていた方。他院も含めこれまでに数回卵巣が腫れていると言われており、3-6か月ごとのフォローアップを指示されていた方。今回私のところへいらしたのは、前回の診察からちょうど1年になるころでした。超音波検査で明らかなサイズアップを認め、腫瘍内部の状態にも変化を認めたため悪性を否定できずMRI施行したところ、やはり卵巣がんが疑わしいとの結果を得ました。

卵巣がんについて確定診断を得るためには、手術において病理診断を得る必要があるため、現時点では悪性卵巣腫瘍の疑いがある旨をお伝えし、高次病院への受診をしていただくようお伝えしました。

次のケースは38歳、バリバリのキャリアウーマンで、2年ほど前に人間ドックで子宮頸がんの検査で異常を指摘されてから当院でフォローアップしてきた方です。子宮頸がんの検査で異常を指摘された場合、子宮頚部組織診(=少量の組織=お肉をつまむ検査)で確定診断をつけ、治療の適応になければ細胞診(=子宮の入り口をこする検査=子宮頸がん検査と呼ばれるもの)を3か月ごとにくり返し、変化を追っていきます。

この方は、毎回ギリギリのラインで手術適応とはならない結果ではあったものの、ご本人は余計な心配をあまりされない方であり細胞診に時折 組織診をはさみながら様子を見てきました。

今回、細胞診で得られた結果に、病理医からの気になるコメントがあったため組織診を追加したところ、やはり手術が必要な域まで変化をしていることが判明しました。ご本人が定期的に検査にお越しくださったおかげで、もっとも早期の段階で手術できる前がん病変のケースでした。

最後は子宮体がんを疑うケース。43歳未婚で妊娠歴はなし。元々生理はばらばら、8か月に一度かなというくらいの生理周期であり、生理かな、不正出血かな?のような状態が2年も続いていた方。生理らしい生理は2014年の1月だそうで、そこからはたまに出血があるも、あまり気にすることもなく今日に至ったそうです。婦人科的な診察は過去のトラウマからかなり苦手であり、当然のように婦人科の診察は覚えていないほど昔に受けたきりとのこと。

超音波の検査だけで これは間違いないだろうと思われるような子宮体がん=子宮内膜がんを疑う所見を認めたため、ご本人にもその旨をお伝えし、精査に対するご協力をお願いしました。今後、組織検査の結果を待つのと並行して画像、血液での精密検査をすすめた上で手術を念頭に高次病院へご紹介予定です。



世の中で、原因や対策方法がわかっていない疾患はまだまだたくさんあります。一方、早期発見が有効であるとわかっている疾患もたくさんあります。少しの勇気、少しの留意がその後のQOLを大きく変えるケースは少なくありません。

なにかが気になっている方、何か月後来てね と言われたことがある方、ぜひいらしてください。間違いなく”なにかいいこと”がありますから。

(画像はイメージであり、ご紹介したケースとは無関係です)

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