アーティストのサービス精神

あるスポーツイベントをきっかけに出会ったアーティストがいます。私と同年代であればほとんどの方がご存じであろうというトップアーティスト。私を気に入ってくださったのか、何かにつけご相談くださるようになりました。今回も、これからの人生設計について なんていう大きな話題でのご相談をいただきました。

この先1年半にわたって「ツアー」と呼ばれる何十本ものライブを全国各地で予定しているため、少し先までの体調管理を念頭に計画を考えていくようですが、そんな話しをする中で彼女から何度も出てくる言葉がありました。
「来てくれた人に…」 という言葉。

来てくれた人に喜んでもらえたらうれしい
来てくれた人が、元気をもらって帰ってくれたら
来てくれた人をがっかりさせたくない
来てくれた人たちのおかげだから

誰もが名前を知るアーティストが、こんなにも「来てくれた人」を念頭に置いて準備するんだということ。正直意外でもあったのでそのまま伝えてみたところ、それが普通、でも思ってはいても行動に移せないことも多いから、よく反省してる という答えでした。感激。アーティスト という名のとおり、音楽という”芸術”をあつかう人が、ここまで受け取る側を意識するものなんだ という感激、しかし同席したマネージャーによると、ここまで考えてくれるアーティストは他にはほとんどいないとのこと。そりゃそうですよね。

彼女が持っていた”サービス精神”は、私自身が外来で抱く思いととても近いものだと感じました。何万というファン、オーディエンスという不特定多数に対するサービス。私が、外来に来た方ひとりに満足していただくことよりも、ずっと難しいことでしょう。でも、「来てくれた人に…」 そう願い続けてきたからこそ続けてこられた現在のポジションなんだろうと思いました。 
そして、彼女のこの純粋な思いが、多くの人に伝わり続けることを願いたいと思います。

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