漢方医学 講習会

漢方医学の講習会に参加しました。
今回のテーマは『痛みに対する漢方処方』
講師は日本大学医学部 統合和漢医薬学分野の上田ゆき子先生。
麻酔科のペインクリニックを経て、現在は漢方医学を専門になさっていることもあり、痛みのコントロールに関してはエキスパートと言っても過言ではないでしょう。

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漢方医学については内科、婦人科、整形外科などの診療領域を越えて必要とされる知識であるため、平日の夜にも関わらずほぼ満席でした。
漢方医学では、『証』と呼ばれる漢方独特の症状から分類することによって診断し、治療法を選択します。
その『証』の診かたが難しく、漢方を専門としているDrではない場合、表面的な判断で漢方エキス剤(ツムラ・クラシエ・コタローなど、包装された漢方製剤)をなんとなく選んで処方しているパターンが多いと聞きます。

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今日の講義では、基本3要素である気血水の診かた、舌診の方法などベーシックだけれども学びにくい部分から、患者さんタイプ別の具体的な選択方法、二剤併用の組み合わせ、その際の注意点などなどかなり臨床応用できるレベルまで、たくさんのポイントを教えていただきました。
私は婦人科ですが、女性総合外来を担当させていただいてきたおかげで、慢性関節リウマチの患者さんがいたり、睡眠障害、不安症といった心の病気の方がいたりと、幅広く漢方を使わせていただいています。
そんな中で、二剤併用をしてとてもよく効いたと感じた症例を何例か経験してきました。数回の変更を経て落ち着いた二剤だったのですが、ある意味「運よく」選ばれた二剤だったと思います。
その二剤が「合う組み合わせ」であったからこそ効いたのだと、今晩わかりました。
手術や点滴治療の場合、その場で目的を達成できたかどうか、効いたかどうかはっきりすることが多いです。
しかし漢方などの内服治療では、効果判定までにある一定の期間が必要ですし、患者さんがきちんと服用してくれているかどうかもポイントになってきます。
同じ診断名がついたとしても、患者さんはそれぞれ違ったバックボーンを持ち、違った思いを抱いて病院に来られます。そこをきちんと把握したうえで、患者さんが望んでいることを読み取ることがとても大切だと思います。
その上で、このお薬は効いたよ、この漢方は飲み続けられたよ、そんな患者さんからのフィードバックをいただきながら私たちは外来医としての『腕』を磨いていけるのでしょうね。
これからも、好きな分野である漢方医学の勉強を深めていきたいと思います。

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