「月経周期を考慮したコンディショニング法の開発」シンポジウム

3年前から日本体育大学で取り組まれてきた「月経周期を考慮したコンディショニング法の開発」事業についての報告があり、参加させていただきました。

この事業はスポーツ庁委託事業であり、今年度で一旦 区切りとなるとのこと。実働部隊である研究員の方が私の講義をお聞きくださったご縁もあり、どんなまとめになるのかとても楽しみにしていたプロジェクトです。



本日の大テーマである「月経周期を考慮したコンディショニング法の開発」。「月経周期を考慮したコンディショニング法の開発」なんていう言葉はとても響きが良いわけですが、本当に「月経周期を考慮したコンディショニング法」が作れるのか。まずそこに興味津々でした。

さらに、「月経周期を考慮した」と言った時点で「月経周期を考慮できないアスリート」=すなわち月経不順、無月経のアスリートは対象に含まれないわけであり、JISS(2014)のデータから言えば40.7%の女性アスリートが対象とされない という点にも、ちょっとしたジレンマを感じたわけです。ただ、何事も一歩一歩ですから、この日本体育大学における事業はあくまで「正常な月経周期を有するアスリート」に何ができるのか、そんな観点での取り組みであると理解しています。

月経周期と栄養摂取カロリー、食欲、睡眠時間、睡眠の質、疲労の感じ方、体重、水分量、体脂肪率、ストレスマーカー、貧血や血清鉄との関連など、これまですでに報告されているデータについて日本体育大学などの学生アスリートをモデルに再検討した結果が報告されました。月経と栄養の点で、甘味、塩味と月経周期との関連については論文を読んだことがありますが、酸味と月経周期との関連について有意差のある報告ははじめてでした。

これまですでに知られていることをレビューのように、まとめて検討・評価している点で、現場で取り入れやすい結果にまとまっていたように思います。貴重なデータをありがたく拝見いたしました。3年間という短い期間を考えれば十分に盛りだくさんの内容であると思えます。

日本体育大学に在籍する女子学生は30%だそうです。これまで女性アスリートのサポートは日本体育大学総合スポーツ科学研究センターの小さな一部門でした。今回の取り組みをきっかけに、女性アスリートのサポートが医科学サポートの柱のひとつに格上げされるとのこと。とても喜ばしいことですね!参加させていただきましてありがとうございました。

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