私のちょっとした懸念

半年前くらいから感じていた、ちょっとした懸念について書こうと思います。

2013年9月に、東京でオリンピックパラリンピック大会が開催されることが決まってしばらくしてから、女性スポーツの分野は一気に脚光を浴び、これまでの女性アスリートを取り巻く環境の至らなさ が指摘されたりしています。それは当然、時代の流れとともにその時その時の”常識”が移り変わるわけですから、誰の責任でもありません。
私が高校バレーボール部だったときはまだ、練習中には水を飲むな、水を飲むと体力が落ちる くらいの認識がまかり通っていた時代でした。今ではそんなのとんでもない、と誰もが思うわけで、当時はそう信じられていたわけですから仕方のないことです。そんな話しは山ほどあるわけです。大切なのは、新しく正しいとされた情報をきちんと手に入れ、身につけ、実践していくことです。そこを怠らなければ、アスリートとしても指導者としても、時代に取り残されてしまうことはありません。

ですから、これまでの先輩女性アスリートが通ってきたいばらの道から学び、これからにつなげることを考えていけば良いと思っています。

私の懸念 というのは、この女性スポーツ・女性アスリート支援 といった動きが、2020年に向けた一時的なブームでなければいいなぁということ。

オリンピック・パラリンピック大会に向けての気運が上がることは本当にありがたいことですし、実際に企業からのバックアップをいただける女性アスリートも増えてきていることでしょう。ただ、2020年からあとも当然のように女性アスリートは誕生しますから。

私が慈恵のころから参加させていただいてきた「女性スポーツ医学研究会」は、昨年で29回を重ねています。年に1回の開催ですから30年近い歴史を持つ女性スポーツのベースがあり、先輩方のたゆまぬ研究・報告・実践のおかげで今があります。目崎先生、落合先生、佐々木先生の世代から松田先生、難波先生の世代へ、そして能瀬先生へ。その傍らでは、私がこれまで参加させていただいてきたスポーツ関連のほとんどすべての学会で発表をしつづけてこられた中村真理子さん、大学で言えば筑波大学、順天堂大学、各種体育大学の研究職のみなさん。そんなみなさんによる長年のベースがあったからこそ、今こうして女性スポーツの分野に光が当てられ、女性アスリートの環境が少しづつ変わろうとしています。

2020年が遠い先のように感じる方もいらっしゃると思いますが、もうリオは今年、東京は4年後。すぐです。そのあとも脈々と女性スポーツに関する研究やサポートが続いていくことを願います。

もうひとつ。本当は何を希望しているか というと。
男性女性という括りなく、男性も女性のからだについて学ぶ、女性も当然男性について学ぶ、そうした性差のような考え方がいつか薄まっていったらいいなぁ!と。女性だから!男性だから! ではなく、白色人種、黄色人種、黒色人種 のような、ジュニアとシニア のような、それくらいのカテゴライズで 男性と女性 について語られる日が来たらいいなと私は思っています。

(挙げさせていただいた先輩方のお名前が十分ではないと思います。どうぞご承知おきください。)

関連記事