日本における低用量ピルの印象はなぜこんなにも悪いのか

産婦人科医による『低用量ピルについての座談会』に参加しました。



低用量ピルはもともと避妊目的に使用されてきましたが、現在ではその副効用を上手に用いて月経困難の改善、月経周期の安定、月経前の不調の緩和 などに用いられています。またアスリートにおいては、試合日に月経が重ならないよう調整したり、パフォーマンスを安定させたりする目的でも積極的にすすめられています。

今回は数人の産婦人科医が集まって、低用量ピルについてこれまで思ったこと感じたこと困ったことなど出し合い、これからの低用量ピルになにを求めるか、など意見交換をしました。この内容は、国や低用量ピルを製造販売している製薬会社に届きますので、なにか良いかたちで変わっていくといいなぁと思っています。

日本における低用量ピルの印象はなぜこんなにも悪いのか。これは常に挙げられる懸案事項です。

世界における女性アスリートの低用量ピル使用率は、欧米での報告によると40-80%程度。一方日本では、ロンドンオリンピックに参加した女性アスリートでのデータではなんと2%を切るという低い使用率にとどまっています。

実際に外来で低用量ピルの使用をおすすめした方からいただく反応はやはり、それほど良くないものです。その中にはホルモン剤はやだ、飲んだら太りそう、飲んだ友だちが超イマイチだって言ってた、などなど先入観からのコメントが多いのも事実です。一方、生理ずらすために飲んだらすごくつらかった、など実体験に基づく声もあります。

実際のところは、継続して飲んでいただくタイプの低用量ピルは、月経移動のために使っている中用量ピルよりもはるかにからだが感じる変化や副作用とされる変化が少ないピルです。ですから、ハワイに行くときに飲んだピルがイマイチだったとしても、生理痛の治療目的で飲むピルは感じ方がちがう ということは往々にしてあることなわけです。

私たち産婦人科医がピルのユーザーにそこまで正しくお伝えできているか、そう尋ねられたらなかなか自信を持って「はい」とは言えないのではないかと思ってしまいます。

少なくとも、よいところとリスクを正しく知って上手に使うとすれば、ピルは多くの女性の味方になるはず。さらにアスリートにとってはメリットが大きいと考えています。このあたりを正しくお伝えする機会をつくろうと思っています。

関連記事