こだわるところ と こだわらないところ

ファイナンシャルプランナーとお話しをする機会がありました。相手が相手ですから、資産運用について とかこれから先のマネープラン とか、そんな話題がほとんど。でも、つき合いの歴が浅い方からは浅い方なりに、得られるお話しが聞けるものです。

医者という職業の人と話す機会は割と多いけれど、そのこだわりのなさはどこからくるのか?そんな質問をされました。一般的に医者という職業の人はいろいろな物事に対するこだわりがものすごく強い方が多いと。そんな先入観を一気に崩された、と。

いやいや、私にもこだわりはあります。身に着けるものにもこだわりはあるし、使うものにもこだわりはあります。古くても、気に入ったものは使い続けたいタイプですし、使えなくなってしまったら気に入ったものと同じものを再度、手に入れたがるタイプです。そんな一方で、こだわらないところに関しては正直、なんでもいいのです。たとえば、論文などを読む際に使う蛍光マーカーは黄色じゃなきゃいやなのに(黄色でなければ線を引かないくらい)、紙カルテの際に使うペンはどんなペンでもOK。ボールペンでも万年筆でも水性ペンでも青いボールペンでも。ま、自分にしか関係のないこだわりで、そのこだわりのために手間や時間がかかっても、お金がかかっても、そこにこだわりたいのであれば、それは良しとしましょうか。ただ、まわりを巻き込むようなこだわり であった場合は若干 こだわることはなんでも良し とはならなくなってきます。

”もの”に関してだけでなく、私が責任者として決めた「婦人科診療に関するルール」においても、その場その場に応じてイレギュラーとなってしまうケースはいくらでもあるわけで。でもルールはルールだからか、Nsはひとつひとつ報告もしくはイレギュラーになってしまう旨の確認をしてくれる。そんなひとつひとつに、私はたいてい「いいよ、いいよ」と答えているわけ。患者さんが困らない、法律を守っている、現場がやりやすい、そんなイレギュラーケースは私にとってもまったく問題ではなく、こだわらないところ の代表であるわけです。今回たまたまそうなってしまった、けれどその方が流れがいい、のであればチームで話し合った上でルールを変えてしまうケースすらよくあります。

多分、お会いしてまだ3回の彼女は、私のそんなところを指摘してくださったのであろうと思います。

仕事をしていく上で、こだわるところ にはきちんとこだわり、こだわらないところ こだわらなくていいと思うところ についてはある程度ファジーにすすめていくことは、仕事の精度を上げ、進みを早くします。私の仕事の場合、患者さんの訴えを聞く、患者さんのからだに触れる、診断をつける、治療方法を決める、このあたりのことに関しては徹底的にこだわる必要がある というよりは、私自身が徹底的にこだわりたいところ。その他のことに関しては、ほとんどが たいしてこだわらなくていいこと なのでしょうね。

チームを引っ張るリーダーとしての立場に立って時間が経つにつれ、人はほんとうに必要なこと 以上のこだわりを持ちやすいものです。これはこうでなくちゃダメ、そんな縛りが組織の成長、業績の成長を阻んでいるケースもあることでしょう。鶴の一声、トップダウン、そんな言葉が似合っちゃう方 こそ、一度ほんとうに必要なこだわり なのか、まわりに迷惑がかかっているこだわり ではないかを考えてみる価値があるかもしれませんね。まわりの方、近くにおられる方もなんにも言わなくなっちゃっているでしょうから。

今日も芝生のような刈りたてのモヒで(←ここ 人に迷惑をかけない私のこだわり)、イーク表参道にお越しくださるみなさんをお迎えしています!

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