トップアスリートたる所以

JISSにて産後トレーニングを行うアスリートに、産前のトレーニング、yogaを指導しました。トレーニングについてはもちろんトレーナーの担当分野になりますので、トレーニング前後のコンディションチェックとトレーニングの許可、yogaの指導、このあたりが私の担当となります。

このアスリートをサポートしていく目的は、あくまで産後のトレーニングを行うことによって順調に試合復帰を図り、復帰後も現在と同じくらいの順位を目指していくこと。ですから、今日からスタートした産前のトレーニングはあくまで産後への繋ぎ 的な意味となります。

近々の順位が世界戦で優勝、という戦歴をお持ちの方ですから、産後もトップを目指すことになります。責任は大きいなぁと思いながら産直後からのメニューをスタッフと考えたりしていたわけですが、ご本人とお会いしてわかったことがあります。これがトップアスリートたる所以だ、と。

もう35週にもかかわらず、十条駅からJISSまでの2km弱を台風の中歩いてきた と。

さらには誰に相談するでもなく、妊娠中も体調がよいときには2kmほど泳いでいる と。

自宅のある4階までは常に階段。

もっと驚くことには、37週前後に2000m級の登山を予定している と。

さすがですよね。

もちろん妊娠の経過に”絶対”はありません。これまで20年も第一線で競技しつづけてきた彼女だからこそ、可能だったのでしょうし、きっと可能なのでしょう。妊娠前に運動の習慣があったかなかったか、そこは妊娠中の過ごし方に大きな差がでてきます。妊娠前からほぼ毎日のように運動をしていた方であれば、妊娠中により動ける可能性が出てきます。逆に、妊娠したからマタニティヨガをやってみよう、という方であれば、それなりの強度・難度が相応しいわけです。

彼女の真似はなかなかできるものではありません。真似しようとしないでくださいね。これまでのからだ作り、努力の積み重ねのたまものですからね。



彼女たちと話していると、妊娠は決して特別な時間ではないように思えてきます。

“妊娠は病気じゃないから” よくそう言葉にしたりもしますが、お医者さんに普段の生活についてアドバイスを求めたとき あれやっちゃダメ、これもやっちゃダメ、と答えられた経験をお持ちの女性もたくさんおられると思います。また、トレーニングや練習の中断を余儀なくされたことにより、妊娠→引退を決めたアスリートもたくさんいらっしゃると思います。

妊娠中だから という理由だけで常に安全パイを選ぶ のではなく、どこまでなら安全に、かつ有効に(妊娠中におけるメリット、分娩時のメリット、産後におけるメリットなど)運動していただけるか、そこは経験による個人差を鑑みながら、ある程度明確に示す必要がある時代なのだと強く感じました。

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