自分が今いるところで

イーク表参道には、いろいろな患者さんがいらっしゃいます。普通に婦人科的なお悩みをお持ちの方がいらっしゃることはあたりまえなのですが、blogや一度お会いした印象などから高尾美穂というパーソナルな私に興味をお持ちいただいていらっしゃる方も多くいらっしゃいます。

慶應大学での講演を聞いて、受診しに来た学生さんもいます。私と同じようにアシュタンガヨガをずっと続けてきていて、腰痛に悩まされている方が意見を聞きに来られたというケースもありました。企業で働きながら独立、起業を考えている方が低用量ピルの定期的な処方とともに、ちょっとした人生相談のようなお話しをされていくこともあります。
今日は「起業」というキーワードについて考えてみました。

ここ数年、起業=独立をめざす方が爆発的に増えているようです。私の父くらいの世代にあった、企業に雇用され続けることによる安定した生活への信用が揺らいでいるのかもしれません。また、夢を実現するためには雇われでは無理、という現実を知ってしまったからかもしれません。

以前、大学生のうちから企業を意識した若者を支援する会からのオファーがあり、講演をする機会がありました。そこに集う大学生や若者は、たしかにキラキラした目をして夢にあふれていました。中には、就職していた銀行を辞めてまでして起業準備をしている方もいました。
人生の中で早い時期に独立=起業を意識して動くことは、独立独歩の精神が身につくなど良いこともたくさんあることでしょう。

ただ、大きな社会の一員として、ある意味「コマ」として働く時期が学ばせてくれる大切なことはたくさんあることも事実です。理不尽なこと、上下関係、社会のお金の流れ、自分の力の小ささ、良い悪いの間にグレーゾーンがあること。自分ひとりではなにもできない という現実を見る ということも、必ずその後の人生の糧になるものです。
もちろん、個人事業主としてがんばっていかなければならない業界も多くあります。上司がいて部下がいる。その状態がありがたかったりもするわけです。

そんなこんな時間を過ごしながらも、近い未来、ちょっと先の未来、自分がやりたいことを明確に描く。描き続ける。その夢は独立しなければ叶わないのかもしれないし、もしかすると今の環境のままでも叶えられるものなのかもしれない。その実現までまだ時間や経験が必要なのであれば、今自分が置かれている立場でなにができるのか、なにが可能なのか、その日の自分のために今なにをしてあげられるのか、それを考え具体的に実行していくこと。

自分が今いるところで、自分の最大のパフォーマンスをすること。これができなければ、どんな立場になったって最大のパフォーマンスはできないことでしょう。「立場」というのはあくまで「ヒト」の背景にすぎないわけですから。自分という「ヒト」が成長していれば「立場」は自然とついてくるもの。私はそんな風に思っています。

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